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2.5 被害想定計算の考え方

被害想定とは、地震など、ある種の現象が発生した際にどの様な事象が起きるかを予測し、それに伴う人的ないし物的な被害を予め予測しておくことである。これまで地震動の算定手法について説明したが、これらは地震が発生したときに各地でどれだけ揺れるか予測するためのものである。以下は、地震に伴う被害について想定を行う。
被害想定といっても、地震による直接的・間接的被害、短期的・長期的被害、物的または人的・非物的被害など想定しうる対象は多岐におよぶが、ここでは地震による直接的、短期的、物的または人的被害を想定の対象としている。
定義した被害想定に限定してもなお対象は、地震動による破壊、液状化、土砂崩壊などの危険予測に始まり、人的または物的な被害が想定されるようにその範囲は広い。平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では戦後最大の都市直下型地震として甚大な被害をもたらしたが、特に発災直後の死者数に注目すると死因の8割が建物の倒壊に伴う窒息死であった。兵庫県南部地震が発生した時間帯が未明であること、また関東大震災においては1番の死因が焼死であることなどを考慮すると、必ずしも建物の倒壊数が人的被害の規模を左右するとは言えない。しかし市街地における被害想定の手法として建物倒壊を予測しておくことは、地域防災においても有効であることから、ここでは被害想定として建物倒壊率を求めることとする

 

 

 

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